GAMBA OSAKA EXPRESS
2019-12-30T16:18:23+09:00
mateloss
ガンバ大阪に関するコラム、ゲームレポート、戦術分析
Excite Blog
’19シーズン総括-確かな進歩を見せた宮本ガンバ1.5年目
http://mateloss.exblog.jp/239918110/
2019-12-30T16:18:00+09:00
2019-12-30T16:18:23+09:00
2019-12-30T16:18:23+09:00
mateloss
Column
<ビルドアップ>ビルドアップのバロメーターである「1ゲーム当りのアタッキングサードへの侵入回数」は49.4回。これは'12シーズン以降で最も高い水準(J2だった2013年を除く)。リーグ最多得点を記録した(のにJ2に落ちた)'12シーズンと同数であり、今季のJ1でも4位に位置する。また、ボール支配率も'12(53.6%)に次ぐ53.3%まで回復。攻撃機会当りのアタッキングサードへの侵入回数の割合は44%で、健太監督時代より10%弱改善を遂げている。西野監督退任初年度の’12(40.2%)をも超えており、ビルドアップに関しては、西野監督退任以降、その遺産を食いつぶすばかりだったが、それもこれで終わりかもしれない。
<アタッキングサード>近年の低迷の最大の要因となっていたアタッキングサードのクオリティについては、宇佐美復帰以後で激変。宇佐美復帰以前は、PA内への侵入回数こそ13.6回で過去5シーズンで最高のレベルまで改善していたものの、1ゲーム当りのシュート数が13.3本(リーグ9位)、得点数が1.2点(同10位)と中位レベルに留まり、近年同様の低迷の主因となっていた。それが宇佐美復帰以降は、PA内への侵入回数は14.0回、シュート数が14.6本、得点数が1.5点まで上昇。それぞれリーグ6位、2位、4位に位置し、「リーグ上位の攻撃力」と呼んでもよいところまで復活した。
<コンパクトネス/ハイプレス>今期の平均縦幅は28.9mで、健太監督時代(29m半ば~後半)に比べればコンパクトネスを保てているものの、前季のツネ監督就任後(27.4m)と比べると1m近く間延びしている。現役時代のツネといえば、前線のプレスが嵌らなければセーフティファーストでDFラインを躊躇せずに下げる、そのうえで積極的且つ細やかに上げ下げして極力コンパクトに保とうとするラインコントロールを持ち味(或いは「信念」と言ってよいかもしれない)としていた。監督就任以降、コンパクトネスが大幅に縮まりながらも1ゲーム当りのオフサイド数は減少している事実を考えると、その持ち味或いは信念は監督時代になっても反映されているように思える。だとすると、今期からDFラインの構成が変わったことが、ラインを下げた後の細やかな上げ下げによるコンパクトネスの維持・回復の足かせになってる可能性も否めない。一方、ハイプレスの成功率に関しては、井手口復帰前は36.9%と前期(37.3%)を下回っていたところを、井手口の復帰により37.7%まで持ち直したカタチ。それでも井手口&今野を要した'17シーズンは44.1%を記録しており、やはり今野の不調・移籍の影響は色濃い。
<ディフェンシブサード>ゲームの大半(場合よっては90分のほとんど)を危なげなく進めておきながら、時間的にはわずかな劣勢、或いはワンプレーをこらえきれずに勝ち点を取り逃すゲームが、シーズンを通して珍しくなかった印象。戦術的な不備・弱点というより、練習どおりの守備が通用しないイレギュラーな状況(リード直後にハイパーハイプレスを受けている状態とか)においてミスが連続したり連携が取れていなかったりといった「場数不足ゆえの不安定」という一言が強く印象に残る。ではなにも改善していないのか?というとそうでもなく、被シュート数は過去6シーズンで最少の14.1本にまで改善し、'13以来にシュート数が被シュート数を上回った。ただし、これでもリーグで15位(=リーグで4番目に多くシュートを浴びてる)という有様で「ザル」と呼ばれても言い返せない状態は続いている。さらに悪化している面もあって、セットプレーからの失点が前季比2倍弱の25失点に増加。前季から続く最大の失点パターンであるクロスからの失点(25失点)と並ぶ水準に増えてしまった。このあたりは、シーズン前にも危惧していたことだけど、数年来続くSBの守備力不足に、対人ディフェンスに優れたファビオの穴を埋めることができなかった結果といってよいだろう。
<画竜点睛を欠くものの、完成に近づきつつあるポスト西野の攻撃的スタイル>「タレントありきのパスサッカー」から「組織的な守備からのテクニカル且つパスワークによる速攻」スタイルへの転換は、長谷川ガンバ誕生直前から続くクラブのコンセプト。宮本恒もこのコンセプトに従い、健太監督時代の「高い位置で奪っての速攻」は継続しつつも、健太監督の「ハイプレスとセットディフェンスの時間帯・状況別使い分けによるコントロール」に替えて「ミドルブロックでの守備とミドルサードでのポゼッションによるゲームコントロール」を志向してきた。この「ミドルブロックでの守備とミドルサードでのポゼッションによるゲームコントロール」は、チーム戦術には確かな手腕を有する健太&片野坂コンビも就任当初は掲げたものの2年目には断念したコンセプトだったのだが、これが成就する気配を見せ始めた。今季の1試合当たり攻撃機会は111.4回でリーグ14位。これは守備機会もほぼ同数。にもかかわらず先述の攻撃面のスタッツを攻撃機会当りに引き直すと、リーグ最多得点を記録した'12シーズンをも上回る。言い換えるとポゼッションで守備機会を抑制しながら、その裏返しである少ない攻撃機会でリーグ上位レベルの攻撃力を発揮できていることになる。リーグで3番目に守備機会が少ないにも変わらず、失点/被シュート数がリーグで中から下位という点が、まさに画竜点睛を欠いている状態ではあるものの、このまま戦力の入替えがなければ場慣れが進み、一気に成就、というのもあり得るかもしれない。
<良将・宮本恒>西野監督の遺産を前強化部門が喰い散らかした後を、見事に整理・再建しつつあり、あらためて良将だな、と思わせる1.5シーズン目だった。U-23、J1のここまでを見てきて、すでにチーム作りの力量は、スタイルこそ違え西野・健太に並び称されてもよいと思う。あとは2人(特に西野監督)が持っていた勝負運を持っているか否か。大幅な戦力低下がなければ、リーグ戦は無理にしても運が良ければカップ戦なら届くかもいうチーム状況で、タイトルまで手が届くか。その運の有無が宮本恒が名将たり得るかどうかの分かれ目だろう。]]>
'19シーズン見どころ ローマは一日にして成らず
http://mateloss.exblog.jp/239129551/
2019-02-28T21:25:00+09:00
2019-02-28T21:25:29+09:00
2019-02-28T21:25:29+09:00
mateloss
Column
アタッキングサードの改善は、基本的にはタレント次第という考え方なので、駆け込み加入のダビド・コンカを筆頭に、熊本から加入した田中達、そしてU-23からの台頭(個人的には食野・芝本に期待)に注目したい。戦術的な手当としては、現時点で見聞きしているののは、2列目の倉田・小野瀬にFW陣と近い場所でのプレーを求めている、と言う程度。他には、FW陣(黄・アデミウソン・渡邊)の組み合わせ/使い分け、数少ないチャンスメーカーである藤本の扱いがどうなるのか?、といったところが個人的な注目点。どうも宮本監督のコメントを見聞きすると、'04&'05シーズンのように、攻撃陣3・4人のコンビネーションで錐を揉むように相手守備ブロックを切り裂くスタイルを目指しているように、勝手ながらイメージしてしまうのだが、このイメージがあっているのかも見てみたい。
ディフェンシブサードのクオリティについては、基本的にタレントが変わらないので良化は望みにくいということで、まずは昨季までのクオリティを維持できるかがまずは注目ポイント。とりわけ、ファビオが抜けたことで、三浦・ファビオの加入で解消されたサイドからのクロス起点の攻撃に対する脆さが復活してしまわないかが、第一の懸念点。次いで、昨季に頻出したCBやボランチがボールホルダーに喰い付きすぎて、DFラインにギャップを作ってしまったり、バイタルをぽっかり空けてしまう問題。基本的には4-4-2の時、且つ相手側のポジショニングの流動性が高い場合に発生しやすい。'18シーズンはこの対策も目的の1つとして5-4-1を併用したが、今季はどうするか?
個人的な最大の注目点が、シーズンを通してミドルサードの攻守両面の改善がどこまで進むか。一見クセのないオーソドックスに見える宮本ガンバのチーム戦術のうち、宮本監督の独自色が色濃い部分がミドルサード。「タレントありきのパスサッカー」から「組織的な守備からのテクニカル且つパスワークによる速攻」スタイルへの転換は、長谷川ガンバ誕生前から続くクラブのコンセプトで、「ファーストブレイク」=高い位置で奪って速攻を狙う、と言う部分は宮本監督もキープコンセプトで健太監督と違いはない。大きく異なりそうなのがゲームコントロールの手段で、健太監督はハイプレスとセットディフェンスの時間帯・状況別使い分けでコントロールしようとしていたのに対して、宮本監督は、ミドルブロックでの守備とミドルサードでのポゼッションでコントロールすることを目標にしている模様。実は高い位置で奪い返してのファーストブレイクorポゼッションというコンセプトは、健太監督も就任当初は目指していたところなのだが、就任2年目の三冠獲得の年には、実現困難ということで断念してしまった曰く付きのコンセプト。健太監督時代より2mも縦幅を圧縮したミドルブロックのポジショニングに代表される宮本監督の方法論で、チーム戦術には確かな手腕を有する健太&片野坂コンビで無し得なかったコンセプトの成就なるか。その成熟度の試金石になるのがビルドアップ力(ポゼッション率、30m侵入回数)の優れた相手との対戦。昨季のスタッツで言えば、川崎・横浜・神戸が一段とびぬけており、これにスタイルは様々だけれども札幌、名古屋、C大阪が続くという構造。現時点では、第1グループの横浜FMに通用しないことが出だしで明らかになったということで、次は第2グループとの対戦でどこまで通じるかが注目点。スケジュール的には、・昨季20節では後半にサンドバッグ状態に陥り、なかなか強力な補強も行われた名古屋(第3節@3/9)・昨季の時点ではガンバがわずかに上回ったけれど、ロティーナ新体制でビルドアップ力UPが見込まれるC大阪(第12節@5/18)・昨季22節は手も足も出ないという感じで散々にやられたうえに、ミシャ監督続投で熟成がすすむ札幌(第13節@5/25)の順となる。まずは、2番目グループとの一巡目の対戦でどこまでやれるかがキャンプの成果と現時点の立ち位置の確認、夏以降の二順目でどこまでやれるようになったかを、今年一年の成熟度の試金石として見たい。理想の到達点は、守備に秀でたタレントを輩出しにくい育成の伝統や次世代を担うU-23世代に守備に秀でたタレントがいないことを考えると、今野・井手口のようなJトップクラスの守備能力のタレント無しでも、2番目グループとは互角、1番目グループにも好きにはやらせないレベルか。
最後に、余談だけれどクラブの土台に関わる疑念として、U-23を森下&宮原コンビに任せたことに不安を感じる。健太監督時代からトップとU-23で強化方針を共有していたはずで、そのためU-23の監督は、宮本にしろ実好にしろ、トップチームのチーム戦術に、全く同じではないが、即した育成・強化を進めてきた。その点、ユース・Jユース年代しか指導経験のない宮原(個人的には好きなタイプのプレーヤーだったけど)はもちろん、チーム戦術に関する手腕について何一つ成功例のない森下を起用することが理解できない。帝京で森下の後輩にあたる松波強化部長が、失業状態の先輩に気をつかったわけじゃないだろうけど。]]>
'18簡単な総括~9連勝の実態と減らない課題
http://mateloss.exblog.jp/239129539/
2019-02-28T21:22:00+09:00
2019-02-28T21:22:28+09:00
2019-02-28T21:22:28+09:00
mateloss
Column
(以下、全てスタッツはhttp://www.football-lab.jpより)
宮本監督就任以後、明らかに良くなったと言えるのはビルドアップのクオリティのみ。そのバロメーターである1試合あたり30M侵入回数を見ると、17節までの42.3回からシーズン通算で43.5回に改善しており、宮本監督以後に限って計算すると44.7回となる。さらにこれを攻撃回数あたり(=30M侵入回数÷攻撃回数)でみると、クルピ時代が33%に対して、宮本監督以後が40%と上回り、またこれは健太監督時代(36~38%)以上でもある。現時点の「攻撃的」の代名詞である川崎の54.8%とは比べるべくもないが、「ガンバらしさ」復活の第一歩は間違いなく踏めている、と言えるだろう。
一方で、アタッキングサードのクオリティ不足と「ザル」と呼ばれてもぐうの音も出ないディフェンスの状況は、健太監督最終年より悪化したままで、クルピ時代と変わらず。1試合当りのゴール数こそ、黄義助のおかげでクルピ時代の0.9点から、宮本監督就任後は1.5点に改善したものの、降格回避優先でカウンター狙いの時間帯も多くなったこともあって、PA侵入回数は、宮本監督以後も大きな変化はなく(12.7回→12.6回)、シュート本数に至っては明確に減少(13.0本→12.5本)してしまった。ディフェンスに関しては、被シュート数は悪化(16.3本→16.9本)、PAへの侵入回数も神戸戦を除く16試合で相手に上回られており、守備に重きを置く時間が少なくなかったにも関わらず、あたかもオープンな殴り合いで打ち負けたかのようなスタッツになっている。※()内はいずれも左がクルピ監督時代、右がクルピ監督時代を含む全シーズンの1試合あたり平均。以下、同じ。)
良し悪しは別として、宮本監督の「チーム戦術」観と「らしさ」が強く表れたのがミドルサードでのコンパクトネス。健太監督最終年の縦幅平均29.5m、クルピ監督時代の29.0mに対して、宮本監督就任以後は27.4mと2m前後もコンパクトになった。ただし、その効果はと言えば、守備面では前述のとおり「ザルぶり」に変わりがないことに加え、ハイプレスの成功率が就任前後(36.7%→36.8%)であまり変わらず、健太監督時代の最終年(43.9%)を大幅に下回っていることも合わせて考えると、その効果には疑問符をつけざるを得ないが、攻撃面ではビルドアップの改善に、ビルドアップの開始位置や選手間の距離という点で、寄与している可能性は十分に考えられる。ちなみに、オフサイドの獲得回数が'17シーズンの3.6に対して宮本監督就任以後は2.7回に減っていることを合わせて考えると、コンパクトネスの維持の方法論として、ラインを下げないのではなく、下げてもいいから素早く上げることを手法としていることがうかがえる。この辺りはラインコントロールに腐心したトルシエ時代の経験が織り込まれてようで興味深い。
つまるところ'18シーズンをまとめれば、アタッキングサードとディフェンシブサードのクオリティは健太監督時代より悪化し、ミドルサードはビルドアップが改善した一方で、ハイプレスの成功率は悪化、ということで、課題は増えてはいないものの、減ってもいないという状況。結局のところ、攻撃面では二川、宇佐美、パトリック、守備面では井手口、といった主力中の主直の補充が出来ていないことを、あらためて突きつけられたシーズンだった、という感じ。]]>
’18第28節 対広島戦雑感-完成度の差を覆して驚きの4連勝
http://mateloss.exblog.jp/238792558/
2018-10-05T21:48:00+09:00
2018-10-05T21:48:10+09:00
2018-10-05T21:48:10+09:00
mateloss
Report
攻撃に関しては、負けていれば「完敗」と評されても文句の言えない内容。広島が典型的なカウンター・スタイルだったこともあり、アタッキングサードへの侵入回数は82回(今季平均43.5回)、ポゼッション率は58.8%を記録しながらも、PA侵入回数はわずかに9回(今季平均12回)、シュート本数も9本(同12.1)、枠内シュートもわずか2本(同3.7)にとどまる「攻めあぐねる」の見本のような内容。長谷川ガンバ時代の各季の平均も下回っており、前節の清水戦ではよく見えなかったけれど、アタッキングサードのクオリティ不足は、宮本監督に交代しても、渡邊・小野瀬が加入しても、黄義助が復帰してもなお、依然として改善されない現状にあることがあらためて目に見えて理解できる一戦となった。
守備については、PA被侵入回数は15回、被シュート本数は12本(枠内4本)で、相変わらず相手に上回られる状況が続く。このゲームでこの状況を生んだ主因は、双方の功→守のトランジッションのスムーズさの差で、ガンバに広島のカウンターの起点或いは中継点を潰せない場面が頻出した一方で、広島はガンバの速攻の起点・中継点を潰すことにほぼ成功していたことによる。なお、ブロックを組んだ際の連動性の課題は、清水戦に続き広島側の攻撃が2トップに早々に放り込むかサイド攻撃がメインだったため、殆ど表れず。一方、自陣で守る時間が長い広島は、その連動性を試される場面が頻繁にあったけれど、青山を筆頭に連動性が有効に機能してガンバに付け入る隙を与えず。とはいえ終わってみれば、広島を上位たらしめているカウンター攻撃を、広島のほぼ今季平均並みに喰らいながらもゼロ封に成功。宮本監督の現役当時を振り返ってみれば、FC東京の原監督をして「行ったら行きっぱなし」と評され、新潟の反町監督をして「カウンターに最も弱い」と評されるほどにカウンターを喰らいながらも、最終ライン(主にシジ・山口智・宮本)個々のタレントで最後のところはやらせない、というのが守備戦術の土台であるとともに勝敗の分かれ目の1つでもあった。今節の、カウンターを喰らいながらも東口を筆頭に守備陣の奮闘でしのぎ切った姿を見て、このいわば伝統と言えなくもない「粘守」が、意図的かどうかは別として、復活しようとしているか?という気もしてきた。
何はともあれ、ようやく年間平均のスタッツどおりと言える順位まで上がってきたけれど、ピッチで実現しているプレーは、今節であらためて明らかになったアタッキングサードの課題が改善に向かわないうちは、幸運無しにはこれ以上の順位UPは期待しがたい状況。逆に言えば、特に何かが特別に悪化しなくても、負けが込んで再度の降格圏転落も当然にありえる状況でもある。黄義助にケガ無く「引きの強さ」が続くこと、そして交代を引っ張った黄義助のラストプレーが決勝点になるという宮本監督の「勝負運」が残り約2か月続くことを強く祈りたい。]]>
’18第27節 対清水戦雑感ーこれで御の字
http://mateloss.exblog.jp/238779238/
2018-09-27T22:31:00+09:00
2018-09-27T22:31:56+09:00
2018-09-27T22:31:56+09:00
mateloss
Report
意外だったのは4-4-2でのスタート。4-4-2の場合、ディフェンス時の連動性の問題でバイタルエリアやDFラインに穴を空けやすいという弱点があるのだけれど、このゲームの清水にはその穴を空けるような動きがなく、目立って顕在化することは無かった。この辺りの選択は、清水が、相手がブロックを組む前に攻めきることを得意とする一方で、ブロックを組まれた後にブロックを連携で崩すことは得意としないことを踏まえた、宮本監督の選択だったのかもしれない。攻撃面では、積極的にフォアチェックを掛けられるとボールを繋げなくなってサンドバック状態に陥るのが常なので、先制後の展開が恐ろしかったのだが、先制後はもちろん2点リードを許してなお清水がミドルブロックからの守備を基本として、積極的にはフォアチェックを仕掛けてこなかったこともあり、無難にビルドアップもできアタッキングサードへも侵入できていた。どこまで相手を読んでの選択だったのかはわからないが、宮本監督のこの「攻撃の型」でゲームに入る選択が、2点の先行に成功し、加えてその状態を後半30分まで引っ張ることを可能にした、と言って良いだろう。
このゲームで個人的に印象に残ったのが渡邉千真。目立たないけれども攻守ともに良く効いていたように思え、かつて「橋本が効いていた」と言えば玄人っぽく聞こえるという話があったけれど、今後は「渡邊が効いていた」がそれに取って代わるんじゃないか、と言う気もしないでもない。よくよく考えてみれば「ポストプレー」がちゃんと出来るFWというのもルーコン以来で、ほぼ10年ぶり。ちゃんとポストプレーできるFWがいれば、押込まれた状態からでもトップにあててビルドアップできるという、当たり前のことをあらためて再確認した次第。後は、黄義助だけでなく、渡邉の得点力を発揮させるような攻撃が増えることを期待したい。
このゲームの攻撃面のスタッツはアタッキングサードへの侵入回数は61回(今季平均42.1)、PA侵入回数は15回(同12.1)、シュート本数は11本(同12.2)、枠内シュートが6本(同3.7)本というスタッツ。先述した渡邊のポストプレーを含めてビルドアップは引き続き改善傾向にある一方で、アタッキングサードのクオリティは良化しているかどうか良くわからない、という印象。ここ最近の得点力アップも、チームとして良くなっているというよりは、黄義助サマサマな感が強い。一方、守備面のスタッツは、被シュート数23本(清水の今季平均12.6)、ディフェンシブサードへの被侵入回数51回(同39.6)、PA被侵入回数23回(同13.1)で、どこにも褒めるところが見つからない毎回恒例の「これで良く勝てたな」というスタッツ。カウンタースタイルの清水に対してポゼッション率が47.1%で五割を下回ったのも考えもの。15分ごとのポゼッション率を合算すると、ガンバのポゼッション率が50%を超えたのは90分のうち30分に過ぎず、その他の60分は清水に上回られてしまった。カウンタースタイルに対してリードした際に、あえてボールを保持させて特異なカタチを出させない、という戦い方もあるとはいえ、これはそういう戦い方を意図した結果ではない。一旦手にした勝点を逃さないためには、現状の顔ぶれでは適正的に難しいとは思うけれど、「攻撃の型」「守備の型」に加えて、相手陣でボールを保持して時計を進める「リードしている時の型」が欲しいところ。]]>
'18第26節 対神戸戦雑感ー降格回避が見えてきた
http://mateloss.exblog.jp/238767444/
2018-09-20T21:46:00+09:00
2018-09-20T21:46:13+09:00
2018-09-20T21:46:13+09:00
mateloss
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そう思える要因の1つは5-4-1という「守備の型」が出来上がってきたこと。失点を喫したのが5-4-1の時間帯だったとはいえ、ガンバ側を責めるより、難しい状況からシュートを決めた古橋と古橋にパスを送り込んだイニエスタを褒めるべきもの。今野の左ストッパー起用とファンの左SH起用の合わせ技により、弱点ともいうべき左サイドのディフェンス力(強度・安定感)が増し、失点時を含めて致命的な破たんは発生しなかった。特筆すべきは今野で、さすがは守備の国イタリアのザッケローニがCBとして重用しただけあって、ストッパーとしての能力・安定感は、少なくともガンバでは依然として随一。彼を、状況に応じてDFとMFで使い分けできることは、戦術的な優位性と言えるだろう。あとは「守備の型」とはいえ、宮本監督もゲーム後のインタビューで言及したとおり、攻撃がもう少しスムーズにできれば、というところ。ただこの点でも、前節までと比較して明確に「攻撃時には3-4-2-1になる」と言えるほどには機能しはじめており、確実な向上が見て取れた。確かに5-4-1の時間帯のポゼッション率は37%、シュート本数も4本とスタッツは良くないのだが、成り立ちからして専守防衛目的で考案された戦術であることを考慮すれば、このスタッツを特にネガティブ視する必要はない。そもそもポゼッションには不向きなだけに2次攻撃、3次攻撃といった厚みは出しにくく、従って「一撃」のスムーズさ、すなわち守→攻のトランジッションから1トップ2シャドーのトリデンテにボールを送り込み、トリデンテの個人技或いは連携で決定機会を作り出すという3ステップのスムーズさ、をどこまで練り上げることができるか、というトコロが今後の5-4-1の「磨きどころ」ということになるだろうか。
降格回避の道筋が見えてきたように思うもう1つの要因は、まだ勘違いかもしれないのだけれど、渡邉-ファンの2人が、スピード感には欠けるけれども、連携が合っていたこと。タレント的に得点力不足に悩むガンバとしては渡邉・ファン両者の得点力が唯一(「唯二」というべきか?)の頼みの綱であり、できればシナジーを発揮して”1+1”以上に得点力を増してほしいトコロ。水沼貴史氏だったか、木村和司氏だったか”合う相手とは初めての練習から合うし、合わない相手とはどれだけ練習しても合わない”という主旨のことを言っていたけれども、合流早々の時点で連携が合っているのだとすれば、降格圏脱出のための強力な推進力として期待したくなる。
このゲームで併用した4-5-1と4-4-2の比較と言う点では、確かに宮本監督のインタビューのとおり4-4-2に変化した後の方が攻撃はスムーズだったのだが、ディフェンスの潜在的な脆弱性はこのゲームでも4-4-2ブロックの方が高かったように感じた。この日の神戸は、川崎や札幌のようにボールホルダーのプルバックやサイドに流れる動きでガンバのバイタルにスペースを作ったり、DFのギャップを広げる動きが殆どなかったこともあって、致命傷にならなかったけれど、懸案となっているディフェンスの連動性の問題は依然として見え隠れしている状態。今後も「守備の型」である5-4-1と「攻撃の型」としての4-4-2を併用するのであれば、併用ゆえに求められる部分の宮本恒靖の「戦術家」として眼力と「勝負師」としての勝負運に注目したい。]]>
'18第25節 対川崎戦雑感-大胆なまでの柔軟性
http://mateloss.exblog.jp/238746362/
2018-09-07T21:02:00+09:00
2018-09-07T21:02:40+09:00
2018-09-07T21:02:40+09:00
mateloss
Report
今節の最大のトピックは、ガンバ大阪史上初となる”5-4-1"ベースの変則戦術の採用。一般的には「守備時に5-4-1になる3-4-2-1」という呼び方をするかもしれないが、防戦一方で5-4-1の時間帯の方が圧倒的に長かったこと、攻撃に出ても「多分3-4-2-1なんだろうな」という感じでちゃんとオーガナイズされているとはとても言い難い感じだったこともあって、「攻撃時には3-4-2-1風になることもある5-4-1」と表現した方が実態に即していた。3バックベースとはいえ、西野元監督のダニッシュ・ダイナマイト式3-2-3-2や、攻撃時に4-1-5にもなるミシャ流3-4-2-1のような攻撃のための戦術とは真逆の、ゴール前に”バス"を置く守備目的の戦術だった。
守備のキモになったのは4人のMFのポジショニングで、基本は遠藤・今野が中央で、右に小野瀬、左に倉田というポジショニングなのだが、常時固定ではない。相手のDFやボランチがボールを保持している間は、小野瀬・倉田が4-4-2BOXのOMFのように前目にポジションを取り(遠藤・今野と台形を構成することが多かった)、遠藤・今野のどちらかがサイドのボールホルダーのプレッシャーやチェイスに出た場合には、空いた中央を小野瀬・倉田のどちらかが下がって埋める、とシーンが多く見られた。これにより、前節までの課題であるセットディフェンス時の連動性が欠けるがためにバイタルにスペースを与えてしまうという課題が、ある程度は解消されることになった。「ある程度」としたのは、戻りが間に合わずバイタルを使われてしまう場面が何度かはあったこと(相変わらず阿部の間受けは素晴らしい!!絶対に放出すべきじゃなかった。)、大島が途中退場したことにより川崎の攻撃力がダウンしていたことがエクスキューズとして残るから。また、リーグ最強の攻撃力を誇る川崎を完封したことを持って、守備固めのやり方として今後も通用する目途が立ったかといえば、まだ尚早。今季の弱点の一つは「サイドからのクロス起点の攻撃」なのだが、今節では高さに対する耐久力は問われず。今後、高さを活かしてくるチームに対しても通用した時にはじめて守備固めのやり方を確立できた、というべきだろう。
攻撃に関しては、前半15分前からはアタッキングサードへの侵入もままならなくなり、たまにカウンターで相手ゴール前まで進むこともあっても、戦術に則ってというよりは、多分に偶発的にと言う感じ。守備目的の突貫工事で施した戦術なので、この辺りの不備は覚悟のうえだったようだが、備忘目的でいくつか気になった点をピックアップする前半15分前まである程度攻撃が出来た要因は、ガンバの新布陣に戸惑ったのか川崎が1対1を随所に作るようなフォアチェックをかけてこなかったため、3バックとボランチのポゼッションでWBが前線にポジショニングするまでの時間を稼ぐことができたこと。川崎がフォアチェックに人数を割くようになった先制後は、ポゼッションできなくなりWBが高い位置を取ることが出来なくなってしまった。この状態でボールを前に進めようとすれば、フォアチェックを掻い潜ってパスをつなげるか、つなぐことをあきらめて前線に蹴りこむことになる。しかしながらこのゲームでは、ビルドアップしようにもWBのパスサッカー適正が低いところにOMFが1トップのサポートに上がってしまってパスの出し先がない状況が目についた。また、OMFが下がってもパスがつながらず、ポゼッションもできなかったけれど、これはおそらく覚悟のうえで、藤本ではなく小野瀬の起用は、パスではなく倉田・小野瀬のドリブルでボールを前に運ぶことを意図していたのだろう。
なにはともあれ、その大半を5-4-1を採用した宮本監督の手腕に帰すべき勝点3であり、監督交代したからこその勝点3であったと思う。U-23時代の「教育家」宮本恒靖は、ブービーであっても強化方針に則った戦い方に徹し、今節のように強化方針を完全に脇に置いて「勝点がとれればそれで良し」という戦い方は決してしなかった。残留のために「勝点1以上を獲得する」という目的を第一に、強化方針は脇に置き、さらには攻撃面の不備にも目を瞑って5-4-1を採用するという選択は、なかなかに大胆であり、なかなかに柔軟性のある選択だったと思う。札幌戦の6バックで見せた「合理的であるが故の常識ハズレぶり」も含めて「大胆なまでの戦術的な柔軟性」が「戦術家」宮本恒靖の特徴の1つなのだろう。もしかしたら、この大胆さ・柔軟さというのは、普段の堅実・知的なプレーぶりとはかけ離れた、あの悪名高き「オサレヒール」と根本を共通しているのかもしれない。]]>
好調U-23から救世主はあらわれるか?
http://mateloss.exblog.jp/238735076/
2018-08-31T21:47:00+09:00
2018-08-31T21:47:20+09:00
2018-08-31T21:47:20+09:00
mateloss
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そんなU-23の主要プレーヤーの中から、トップチームのアタッキングサードのクオリティ不足とザルディフェンスの解決策になり得るタレントがいるのか、現実逃避感が満載だけれども、整理(或いは夢想)してみる。
FW 食野 亮太郎昨季に続いてJ3では「格の違い」を見せつけるのだけれど、なぜかJ1ではパッとしない。J3では、一美の17試合で5ゴール/4アシスト、高木の19試合で3ゴール/2アシストに対して、わずか5試合で4ゴール/1アシストをマークしており、アタッキングサードのクオリティに関してはU-23で最も期待すべき結果を示している。J1では、チーム全体が良くない状況下で投入されることがパッとしない理由とも考えられるので、アデミウソンに見切りをつけるなら、彼を左ウィングの一番手候補として先発起用してみてほしい。
MF 芝本 蓮昨季はユース所属でありながらチーム内アシスト王にして、J3のアシスト数トップ5に入ったチャンスメーカー。今期は、「お兄さん達」がU-23に戻ってきたこともあって10試合の出場(うち先発は6試合)に留まっているけれども、それでも1アシストを記録しており、個人的にはU-23で随一のチャンスメーカーと言い切りたいタレント。トップチームにパスで決定的チャンスを作り出せるのが遠藤、藤本の2人しかいない現状では、ゲーム体力や体ができていない(とにかく細い!)という問題はあるんだけれど、途中交代が必須な藤本の交代要員として使わない手はないんじゃないかと思う。
FW 高木 彰人縦横無尽の運動量と時にDFラインを置き去りにするスピードで好調の立役者の1人と言ってよい活躍をしているのだが、いかんせん点がとれない(19試合で3ゴール)。ゴールスコアラーの役割を担う渡邉とファン・ウィジョの代わりにはなり得ないが、トップチームにはいないタイプのFWと言う点は面白く、こちらもアデミウソンに見切りをつけるなら、オプションとして起用することも考えられる。ただし、攻め手の多様化につながる可能性はあるけれども、アタッキングサードのクオリティ改善につながるか、というと期待薄かな。
FW 中村 敬斗確かにシュートは上手いのだが、ドリブル、パスには突出したところがなく、加えてボール扱いのアバウトさや、プレー選択の遅さでボールを失ったり、チャンスを自ら潰すことが目につき肝心のシュートに持ち込めない。得意のシュートに持ち込むには前が空いていることが必要で、相手にブロックを組まれるとなす術がない、という印象。柏ユースに進まなかった理由が「パスサッカーに合わなかったから」というのも、その真意はわからないけど、字づらだけであればそれもうなづける特徴・プレースタイル。現時点の彼を活かそうとするなら、相手が前がかり時のカウンター狙いの状況限定か、彼のいないサイドに相手ブロックを寄せてから一発で逆サイドの彼に展開するといった戦術的な工夫が必要と思われる。パスサッカーを標ぼうするガンバで、状況・戦術にとらわれず活躍できるようになるには、阿部・倉田のように間受けを磨かないと、活躍の機会が限られるだろう。
MF 今野 泰幸直近のYS横浜戦で54分まで出場も、残念ながらトップチーム同様にU-23も抱えるセットディフェンス時の連動性の問題は改善せず。元来が"ボールハンター"でスペースをケアするタイプではないので当然だが、今野が復帰したからといって、トップチームが抱えるセットディフェンスの連動性の問題は改善しないだろう。しかし、コントラスト(1対1)やアンティチポ(先読み)でボールを奪う技術・駆け引きは「さすが」で、ミドルブロックやハイプレスからのボール奪取の回数は、間違いなく増加するだろう。
DF 西野 貴治&野田 裕喜ザルディフェンスの改善策になり得るか云々の前に、特に守から攻への切り替え時に危なっかしいプレーが散見され、トップチームのCBとしては考えずらいという点ですでにNG。個人的には、野田は長所・短所含めて海外基準で見ると、ダイキニワ同様、CBではなくアンカーやSBの方が適正ポジションじゃないかと思うのだけれど、ザルディフェンスの改善策云々とは別の話。]]>
'18第24節 対鳥栖戦雑感 「戦局必ずしも好転せず・・・」
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2018-08-31T21:44:00+09:00
2018-08-31T21:44:08+09:00
2018-08-31T21:44:08+09:00
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今季、取れない/守れないのガンバに対して、守れるけど点が取れないという課題を抱えて低迷してきた鳥栖だけれども、このゲームではこの夏に補強したトーレスの1ゴール2アシスト、金崎の1ゴールと、課題に対する手当てが功を奏した形。ゲームの詳細はどうであれ、低迷の原因にキチンと対応したクラブが、対応できなかったクラブを負かした、というだけの話で、その逆よりはフェアな結果だろう。
宮本監督就任以降、攻守ともにミドルサードのプレーは改善しているけれども、今節もPA侵入回数とシュート数は相手に上回られ、アタッキングサードとディフェンシブサードのクオリティには改善の兆しが見えない。キャリアハイで17得点を記録したことがある渡邊の得点力こそ活かすべきだと思うのだけれど、今節のシュートは0本で渡邉を獲得した意図が見えない。「積年の課題」のアデミウソンは、今節も「課題」のまま。ボールを集めても、相手・味方を通じてゲームで1番多くシュートを打っても、結局のところ何も起こせない。ちょっと前まで仲良く泥沼に嵌っていたはずの2チーム(名古屋、鳥栖)の後ろ姿を、ただ眺めるしかない。]]>
'18第23節 対仙台戦雑感 新戦力考
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2018-08-25T09:18:00+09:00
2018-08-31T21:43:03+09:00
2018-08-25T09:18:50+09:00
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<渡邉千真>加入早々、早速1得点、しかも今季初のスルーパスからの得点を挙げた。これまで、藤本、遠藤といったスルーパスの出し手がいながらも、今イチ噛みあうFWがいなかったけれど、渡邊が噛みあうようならアタッキングサードでの攻め手の多様化に繋がる。独力で得点・アシストするタイプではないので、ホットライン、例えば大黒ー二川のような、と呼べるような噛みあわせが見つかることに期待したい。
<小野瀬>単独や周囲とのコンビネーションで、ポゼッションやボールを前に進めることに貢献。ガンバが、いま最も必要としているアタッキングサードでのクオリティに関しては、J2では25試合で10ゴール/3アシストとなかなかのクオリティを示していたようだけれど、残念ながらというか当然と言うべきか、J1ではそこまでの活躍は見込め無さそう。「ボールを運ぶ人」というタスクでの倉田のバックアッパーといったところか。
ということで、期待の新戦力も、例えば浦和のファブリシオやイニエスタのように、独力でアタッキングサードのクオリティ不足を改善できるほどではないことが、まぁ分かっていたとは言え、明確になった今節だった。従って、補強期間が終わってしまった以上、アタッキングサードのクオリティを改善するには、あとは新戦力と既存戦力とのシナジーに期待するほかない、ということになる。とりわけ、先述した噛み合わせを含めて、キャリアハイで17得点を記録したことがある渡邊の得点力を、今期好調のファン・ウィジョの得点力を維持しつつも、どこまで引き出せるか、が最大のポイントだろう。
加えて、「積年の課題」とも言える、加入以来あまりパッとしないアデミウソンをどう活かすか?どうすれば活きるのか?に何らかの解が見出せるか。攻撃の要、得点源として期待して補強したはずが、カウンター時に独力でボールを運ぶ時位しか期待ほどに輝くことがなく、稀に意外性や高いテクニックを披露することがあっても、自ら得点を挙げるでも、他者に得点機会を作り出すでもない。1シーズンで100本を超えるシュートを放った横浜FM時代のアデミウソンが帰ってこなければ、あるいは「積年の課題」の解消に見切りをつける後半戦になるかも。]]>
'18第22節 対札幌戦雑感 見えてきた?「戦術家」宮本恒靖像
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2018-08-18T18:26:00+09:00
2018-08-31T21:42:47+09:00
2018-08-18T18:26:54+09:00
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攻撃時に"4-1-5"と呼ばれるほど前線にヒトを送り込むミシャ流の可変3-4-2-1は、ビエルサばりにフルコートのマンツーマンにでもしなければ必ず数的不利が起きてしまう戦術。マンツーマンにしないとすれば、対策は出元を抑えるか、出し先を抑えるかの2つ。健太監督時代は、まずは出元を抑えにいくのが基本で、それが上手く行っている時間帯は五分の展開、彼我それぞれの要因で出元を抑えられなくなるとサンドバック状態に陥る、というのが定番のパターンであった。
このゲームでは、前半開始時点から「出元を抑えに行っている」と確信できる状況が見て取れず、加えて時間を経るごとに出元が抑えられなくなったこともあって、リアルタイムに観ている間は、出元を抑える意図があるのか明確には理解できなかった。ゲーム後、札幌にボールを保持されラインを下げさせられた先制後の展開に対して「それを修正して後半入ったんですけれども、少しそれを修正し切れなかった」というコメントを考えると、ラインを高く保つためには出元を抑える必要があるわけで、宮本監督も出元を抑えたかったけれど、それが叶わなかったことが推測できる。
そんな状況のなか、59分(後半15分)の早い時点で5バック(85分の藤春投入後は6バック)に変更。これは「前線に5人いるような状態で自由にボールを動かされていたので、そこに関して人を置くことで対応する」ための変更で、出元を抑えることが叶わないと見るや、出し先を抑える戦術へと明確に舵をきった。
この戦術変更の効果は、前半だけで15本のシュート、59分までで18本のシュートを打たれていたところ、変更後の15分間は3本、最後の15分間もロスタイム前までは4本に抑え込むという結果を生んだ。もし5バック、6バックにしていなかったら、或いはもっと早い時間帯に失点し、さらに逆転を許していたかもしれないという可能性を考えれば、一概に失策だったとは言い切れない。むしろ、敗戦必至の状況下で終了寸前までリードした状態を引っ張ることを可能にした良策であった、と考えることもできる類の戦術変更であった。
いずれにしろ、戦術変更自体は、出元を抑えるよう修正したけど「修正しきれなかった」経緯と、それまでが「出元を抑えらず、出し先も抑えられない」という最も避けるべき状況だったことを合わせて考えれば、論理的な宮本監督らしい合理的な判断だったと言える。とはいえ、59分の一手目のようにDFを追加して5バック化するか、土台として4-4-2を維持しながら適時にSHの1人がDFラインに下がって5バックにする、といったあたりがまず常識的な対応。藤春投入(後半85分)以後の6バックまでいくと、「前例が無いわけではないけど」という程度には常識ハズレと言っていい。U-23を指揮(というより指導)していた時には、「教育家」然として見せなかった類の「戦術家」的対応であり、「合理的であるが故の常識ハズレぶり」が戦術家「宮本恒靖」の特徴の一つなのかな、と思わせる、そんな一手だった。
「合理的であるが故の常識ハズレぶり」と言えば、引き籠り状態で2次元を封鎖する相手に対してクライファート、ファン・ニステルローイ、ハッセルバインク、ファン・ホーイドンクの4タワーを並べて3次元目(高さ)で打開を図ったり、戦力に劣ると見るや"あの"オランダを5バックで守り倒させたファン・ハールに相通じるものを感じる。もしかしたら、ファン・ハールのように、割と戦術面でユニークな個性を持った監督になるのかもしれない。
それにしても、6バックでも守りきれないとは相当に重症な状態。ここ数試合休ませ気味だった倉田ですら11Km弱の走行距離、16回のスプリントという、彼にすればままある運動量でありながら、極めて珍しいことに足をつってしまった事実からすれば、「ゲーム体力」や「シーズンを通したコンディション作り」に「反省点」があるという弁は、残念ながら言い訳ではなく、チームのコンディションは本当にパフォーマンスに悪影響が出るほどの状態なのだろう。また、ロスタイムの失点につながったクロス起点の攻撃に対する弱さも、ファビオ・三浦が加入した昨シーズンは大幅に改善した(シーズントータルで5失点)はずだったのに、今季は既に10失点。連戦続きでチーム戦術には殆ど手をつけることが出来ていないという点は、むしろ今後に希望が持てる部分だけれど、この後、どうやって、どこまで立て直せるか?]]>
'18第21節 対FC東京戦雑感-ザル守備をどうにかしないと
http://mateloss.exblog.jp/238705457/
2018-08-13T20:47:00+09:00
2018-08-31T21:42:31+09:00
2018-08-13T20:47:16+09:00
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このゲームのFC東京側のスタッツを見ると、PA侵入回数は27回、シュート数は21本を数え、シーズン平均の14.4回、12.8本を2倍近く上回ったけれども、ガンバがこれを許した要因はおそらく2つある。
1つ目の要因はFC東京側にあり、その「間受け」のレベルが高かったこと。このゲームでは、90分を通じてブロックの外からブロック内部のDFラインとMFのラインの間にボールを通されて(=「間受け」)、ブロックの内側を突破される場面が頻出した。元来「間受け」はガンバ時代から健太監督の得意とするところで、間受けに適した倉田・大森・阿部といったタレントがいたシーズンには、贔屓目に見て「Jリーズ随一」の突破力を示した。従って、健太監督のもとに高萩、森重といった代表レベルのパスの出し手がいて、東、大森、ディエゴ・オリベイラといったハイレベルの受け手もいるFC東京であれば、その「間受け」をある程度は止められなくても仕方がないところ。
もう1つの要因は、ガンバ側のディフェンシブサードでのセットディフェンス時の連動性。FC東京の間受けのレベルが高いところに、ガンバ側のこの問題が重なったこともあって、FC東京の平均以上のPA侵入回数とシュート数に繋がったと考える。ガンバのセットディフェンスでは、4-4のゾーンでポジショニングした後、ボールホルダーが受け持ちのゾーンに侵入した後は、そのボールホルダーがボールを離すまでマークを受け渡さずにチェイスし続ける。問題となったのは、ボールホルダーをマークするプレーヤーが前後左右の隣のゾーンまでチェイスした時に、そのプレーヤーが空けたゾーンを埋める動きがなく、或いは遅かったこと。特に大きな問題になっていたのが、FWがプルバックした場合と、MFが「中から外」に向かってドリブルした場合で、前者であればDFラインに大きなギャップを空けてしまい、後者であればバイタルエリアに大きなスペースを作ってしまって、そこを使われて危機的な状況を迎えるというシーンが頻出した。この問題は今節に限った話ではなく、例えば前節の名古屋戦も同様で、名古屋の流動性が低かった前半は目立たなかったものの、後半になって名古屋が流動性(特にシャビエルの)を高めた後は同様な状況が発生し、2-0から2-3への逆転を許す一因となっていた。
個人的に監督「宮本恒靖」がこの問題にどう対処するかが、今後の見どころ。
ぱっと思いつく対策は3つ。
まず1つめはゾーンディフェンスのポジショニングの原則、いわゆる「ディアゴナーレとスカラトゥーラ」をあらためて仕込むこと。この対策を実施するうえでの難題は”遠藤の起用方法"で、何故か頑なにゾーンディフェンスにフィットしようとしない遠藤をボランチに配置する限りは難しいかな、という印象。インテリジェンス的には理解できないわけがないと思うのだけれど、なぜか頑なにフィットしようとしない。何かポリシー的なものでもあるのか、誰かに聞いてみてほしい。
次いで2つ目が、空いたゾーンを埋めることをタスクとするプレーヤーを置くこと。やり方としては、4-1-4-1等アンカーを置いてブロックを形成するか、ビダルがいた当時のユベントスのようにブロック外のプレーヤー(FWやトップ下)が空いたゾーンに臨機応変に下がって埋める、という2つが考えられる。この対策を実施するうえでの難問は、どちらのやり方であっても適任者が果たしているか?という点。トップ、U-23ともにアンカーに必要十分な適正をもつタレントはおらず、かろうじて今野ができるかもしれない、という程度。後者のやり方は、ユベントスであってもビダルがいるといないかで安定感が大きく変わるほどゾーンを埋める前線のプレーヤーの戦術眼に依存する方法で、誰にできるのか全くの未知数。アンカーと言えば、ベンチを見れば宮本、山口智という適任者がいるのだけれど、いくら現役時代と余り変わらぬ体型を維持しているとはいえ、まさか「代打オレ」と言うわけにもいかないし、、。
3つ目が、完全なゾーンディフェンスはやめて、かつてのオシムJEFのように、例えばDFはゾーン/MFはマンマークという風に、マンマークを取り入れること。前の2案に比べれば実現不可能になるようなタレント的な問題も無く、即効性も高い点で最も現実的な対策という印象。ただし、ここで指摘した問題が解消できても、1対1の能力差が顕れやすくなるという、マンマークゆえの別の問題が発生するのが難点。
さて、どういう手当を講じるのか?あるいは守備の問題には目を瞑り、攻撃の改善に専念するのもガンバらしいか。]]>
'18第20節 対名古屋戦雑感 降格回避の道のりはかなり険しい、、、
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2018-08-11T13:58:00+09:00
2018-08-31T21:42:14+09:00
2018-08-11T13:58:16+09:00
mateloss
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「ゲーム体力」云々もそうなのだけど、それよりもサイドバックのポゼッション適正が低いがためにプレッシャーがかかるとボールを繋げず、次善の策として、前線に放り込み&キープして全体を押し上げようにも、前線のプレーヤーがキープ力に欠けるか/キープしようとしないため押し上げる時間を稼げない、という点をどうにかしないことには、今後もこんな展開(リードしても逃げ切れない)が頻出するのは避けられないだろう。
サイドバックに目を向ければ、少なくともオジェソク、藤春、米倉は、もちろん良いSBなんだけれども、押込まれてしまった時に押し返すのに役立つタイプではない。期待の初瀬も、少なくともここまではポゼッション向きかどうかは確証が得られないレベル。
(そういえば、ユース出身者は大体ポジショニングに難があるのが伝統だった。。)
前線に目を向ければプレッシャー下での「キープ力」に計算がたつのは倉田位のもの。藤本もキープ力があるというタイプではないし、アデミウソンもむしろ「もっと球離れが悪くても良いんじゃない」と思うことが多々あるくらいでタイプが違う。数少ないドリブラータイプである新加入の「ボールの持ち方に特徴がある」と評価する小野瀬を「時間を作ってほしい」と指示して送り出すも、何回か今後に期待できるプレーを披露はしたものの、ポゼッションを高めるという点では、後ろのボール回しの拙さもあり殆ど功を奏さず。さらに、もう1人のドリブラーである井出を、おそらく同じ意図で投入するも、こちらは全くポゼッションには貢献できなかった。
こうなると、ポゼッションに適性のある橋本・下平に戻ってきてもらうとか、今野が戻ってきたら、高か今野をSBにコンバートするとか、そういう「あらゆる手段」が必要じゃないかと思う今日この頃。
ここまでの3試合では、攻守ともに明らかに改善された部分も見られるのだけれど、勝ち負けを左右する重要な部分に限れば改善が見られない印象。前回も言及したけれど、そこは本来はタレントの補強で改善すべき部分なのだが、それは無しで、代わりに宮本恒監督個人の手腕に期待せざるをえない点で、戦略的には負け戦な状況。一般的、且つ分野によらず、戦略的な不利を戦術的な成功で覆すのはかなりの困難で、ここ 3試合を見る限り宮本恒監督にそこまでの手腕はなさそう。となれば、降格回避への道のりはかなり険しいな、と思わざるを得ない今節だった。]]>
宮本新監督に期待できること/できないこと、そして期待したいこと
http://mateloss.exblog.jp/238677657/
2018-07-27T22:08:00+09:00
2018-07-27T22:08:28+09:00
2018-07-27T22:08:28+09:00
mateloss
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昨季はユースの選手を多数起用しなくてはならないクラブ事情もあってブービーの16位に終わってしまったけれど、内容は悪いところばかりではなく、相対的に劣る戦力でも「ポゼッション率」がJ3で4位、「30m侵入回数」は5位と、ビルドアップの点では悪くない結果を示している。そして、戦力がある程度整った今季は、「ポゼッション率」はJ3でトップ、「30m侵入回数」は2位、「ゴール数」3位というなかなかな「ガンバらしさ」を発揮できるようになった。わずか2年の試合とスタッツを見ただけ、且つJ3ではあるが、「スピードとテクニックで勝負」「コレクティブな闘い」「運動量・走力で圧倒」というクラブの強化方針に真っ正直に則った、或いは則ろうとする戦い方を実現できるだけの戦術眼や指導力を有していることも間違いなさそう。
従って、宮本恒監督のもとであれば、クルピガンバに欠けていたビルドアップやハイプレスのコレクティブ化が期待でき、これが上手く行けば今の戦力のままでもスタッツどおりの10位前後までは浮上できるのではないか、と期待も持てる。
一方で、昨季・今季ともに「PAへの侵入回数」と「被シュート数」はJ3の下位に沈む、というトップチームと変わらない惨状となっている。また、西野監督のようにタレントの組み合わせで個々の実力以上のシナジーを発揮させるような仕掛けや強引に決着をつけに行くようなエキセントリックな采配は見せていないし、或いは、J2トップとは言えない戦力でJ2でトップに立つ松本の反町監督のようにチーム戦術・ゲーム戦術で戦力差を覆そうとするマジシャン的手腕も見せていない。従って、育成目的のU-23なので敢えてこれらの感性・手腕を封印しているというのでもない限り、戦力不足ゆえのアタッキングサードでのクオリティ不足とディフェンシブサードでの"ざる"ぶりの克服を、チームを与えられた戦力どおりに機能させるところまでしかその力を示していない宮本恒監督1人に期待するのは、少なくともここまでの時点では、無理がある。
つまるところ、戦力どおりの結果が期待できる宮本恒監督のもとで、10位前後のその上を期待しようとすれば、アタッキングサードでのクオリティ不足とディフェンシブサードでの"ざる"ぶりを克服できるだけの「戦力の強化」が必要になるだろう。
しかしながら、外国人枠が既に一杯な状況や、解決策になり得るレベルの日本人のタレントが、数人を残してほぼ海外に進出してしまっている状況に加えて、ここ数年の補強どころか補充すらままならない強化部門の体たらくを見れば、外部からの「戦力の強化」は望み薄だろう。となると「今いる戦力で」となるが、トップでもU-23でも若手の中に「出色の出来」と言えるほどの台頭はなく、他に期待できるのは、今野の早期復帰、アデミウソンの復調&残りフル参戦、藤本のフル参戦ぐらいのもの。しかしながら、今野が復帰したとしてもパフォーマンスがいつ/どの程度まで回復するのかは未知数だし、加入以来の履歴を考えるとアデミウソン&藤本のフル参戦も、どうも怪しい気がしてならない。
結局のところ「戦力の強化」が見込めないとすれば、あとは宮本恒監督がU-23では見せていない戦力以上の結果を上げるための「プラスアルファの何か」を期待したい。それも、トルシエ、西野、トラパットーニ、コ・アドリアーンセといった国内外の良将・名将のやり方を直接的に見てきた宮本恒ならではの何かを見てみたい。]]>
クルピガンバの総括 未だ「終わりの時」が続く
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2018-07-27T22:06:00+09:00
2018-07-27T22:06:56+09:00
2018-07-27T22:06:56+09:00
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<アタッキングサードのクオリティ・・・・悪化>
-------------------------PA侵入回数12.3(13)-12.7(12)クロス 14.4(12)-15.7(10)シュート 12.7(11)-13.0(9)枠内シュート4.0(12)-3.9(12)ゴール 1.4(5)-0.9(14)-------------------------アタッキングサードのクオリティを上げるような補強がなかったうえに、数少ないチャンスメーカーであるアデミウソン・藤本も不在がちとなれば、当然と言えば当然だが、どのスタッツもほとんど変わらずか悪化している。ちなみに日本の将来を担いうる逸材と噂の中村敬斗君も、家長・宇佐美・堂安を初めて見たときほどの衝撃は、チーム状態の差はあるのでフェアではないが、受けることはなかった。ファンウィジョがここまでで8得点とKリーグ時代のキャリアハイ(15得点)にも届こうかというパフォーマンスを発揮し、昨季は低調(あくまでもスタッツ面で)だった遠藤がすでに5アシストと復調しているのは数少ないポジディブなところ。あとは、20得点を期待できるストライカーか、10ゴール10アシスト前後が期待できるセカンドトップ、あるいは10アシスト以上が期待できるチャンスメーカー、要するに近年で言えば宇佐美、二川の補充ができていればな、というところ。
<ビルドアップのクオリティ・・・・・・・悪化>--------------------------30m侵入回数44.0(9)-42.3(10)攻撃回数 127.1(11)-120.0(10)ポゼッション 52.5(5)-50.1(10)--------------------------今野のケガ、井手口の移籍の一方、結果論で言えば「補強」はもとより「補充」と呼べるようなタレント獲得もなかったので、当然と言えば当然にどのスタッツも悪化。2年越しのラブコールで獲得したという矢島は、確かに才能を感じさせるトコロはあるものの、U-23のゲームを見る限り、1試合のうちに2・3回はディフェンシブサードやビルドアップの初動でパスミスをやらかすことがあり、浦和レッズ時代を含めてJ1で起用されないのも致し方ないかなという感触。あるいはアデミウソン・藤本のバックアップとして1列前でと考えても、J3レベルで9試合で1アシスト0ゴールでは、やはりJ1で出番はないかな、という印象。評価が難しいのがマテウスで、活きるチームスタイルが不均一なガンバの選手層のなかでも、ひょっとしたら最もパスサッカーに適していないかもしれないように見えるという点で、かなり異質な存在に思える。バルサにおけるパウリーニョや西野ガンバにおけるフェルナンジーニョのように、意図的にカオスを作り出したり、戦術的な単調さを防ぐという点では有効な一手になり得るタレントだと思うけど、今のガンバでは、タレントの不均一性ゆえのビルドアップの混乱に、さらに輪をかける存在になってしまっているのではないかと若干疑いの目を向けている。単騎でゴリゴリとボールを前に進める推進力はとても魅力だが、現状では、先発より、パスでボールを運べない場合のオプションとした方が良いのではないかな、と感じる。
<ディフェンス力・・・・・・・・・・・・悪化>------------------------------被シュート14.7(17)-16.3(18)コンパクトネス29.5m(6)-29.0m(7)ハイプレス43.9%(4)-36.7%(17)オフサイド 2.6(5)-3.6(1)------------------------------ハイプレスの成功率が、リーグ4位の43.9%から17位の36.7%にまで「ガタ落ち」。ここは今野のケガ、井手口の移籍の影響であることは明白と言えるだろう。コンパクトネスに劣化はなく、オフサイド獲得数はリーグで最多な点でDFラインの奮戦ぶりが光るが、肝心の被シュート数は、相変わらずリーグ最多レベルの状態であり、ガンバのディフェンスを評して"ざる"とバカにされたとしても、ぐぅの音もない状況。健太監督の数少ない遺産であったコンパクトネスとハイプレスのうち、ハイプレスの方は早くも遺産を食い潰してしまった結果になっている。昨季になってハイプレスの成功率が上がった要因は、今野と井手口の2人が揃っていたから。今野ひとりが復帰したとして果たしてどこまで成功率が回復するかが、浮上のカギとなる要素の1つであり、後半戦の見どころの1つとなる。 西野ガンバを「始まりの始まり」から「始まりの終わり」までとすれば、セホーン&松波ガンバと長谷川ガンバをもって「終わりの始まり」から「終わりの終わり」までとしたかったけれども、これらのスタッツや新戦力が台頭しない状況を見る限りは、未だ「終わりの時」が続いている、そう総括せざるを得ないクルピガンバの7か月であった。]]>
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