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ガンバ大阪に関するコラム、ゲームレポート、戦術分析
by mateloss
’18第28節 対広島戦雑感-完成度の差を覆して驚きの4連勝

勝つには勝ったけれども、守備陣の個々の奮戦を除いて内容的にはあまりよい部分が無かった一戦。

90分を通じて両クラブの完成度の差が、特にブロックディフェンス時の連動性、守→攻と功→守それぞれトランジッションのスムーズさの違いに顕著に現れた。


攻撃に関しては、負けていれば「完敗」と評されても文句の言えない内容。

広島が典型的なカウンター・スタイルだったこともあり、アタッキングサードへの侵入回数は82回(今季平均43.5回)、ポゼッション率は58.8%を記録しながらも、PA侵入回数はわずかに9回(今季平均12回)、シュート本数も9本(同12.1)、枠内シュートもわずか2本(同3.7)にとどまる「攻めあぐねる」の見本のような内容。

長谷川ガンバ時代の各季の平均も下回っており、前節の清水戦ではよく見えなかったけれど、アタッキングサードのクオリティ不足は、宮本監督に交代しても、渡邊・小野瀬が加入しても、黄義助が復帰してもなお、依然として改善されない現状にあることがあらためて目に見えて理解できる一戦となった。


守備については、PA被侵入回数は15回、被シュート本数は12本(枠内4本)で、相変わらず相手に上回られる状況が続く。

このゲームでこの状況を生んだ主因は、双方の功→守のトランジッションのスムーズさの差で、ガンバに広島のカウンターの起点或いは中継点を潰せない場面が頻出した一方で、広島はガンバの速攻の起点・中継点を潰すことにほぼ成功していたことによる。

なお、ブロックを組んだ際の連動性の課題は、清水戦に続き広島側の攻撃が2トップに早々に放り込むかサイド攻撃がメインだったため、殆ど表れず。一方、自陣で守る時間が長い広島は、その連動性を試される場面が頻繁にあったけれど、青山を筆頭に連動性が有効に機能してガンバに付け入る隙を与えず。

とはいえ終わってみれば、広島を上位たらしめているカウンター攻撃を、広島のほぼ今季平均並みに喰らいながらもゼロ封に成功。

宮本監督の現役当時を振り返ってみれば、FC東京の原監督をして「行ったら行きっぱなし」と評され、新潟の反町監督をして「カウンターに最も弱い」と評されるほどにカウンターを喰らいながらも、最終ライン(主にシジ・山口智・宮本)個々のタレントで最後のところはやらせない、というのが守備戦術の土台であるとともに勝敗の分かれ目の1つでもあった。今節の、カウンターを喰らいながらも東口を筆頭に守備陣の奮闘でしのぎ切った姿を見て、このいわば伝統と言えなくもない「粘守」が、意図的かどうかは別として、復活しようとしているか?という気もしてきた。


何はともあれ、ようやく年間平均のスタッツどおりと言える順位まで上がってきたけれど、ピッチで実現しているプレーは、今節であらためて明らかになったアタッキングサードの課題が改善に向かわないうちは、幸運無しにはこれ以上の順位UPは期待しがたい状況。逆に言えば、特に何かが特別に悪化しなくても、負けが込んで再度の降格圏転落も当然にありえる状況でもある。

黄義助にケガ無く「引きの強さ」が続くこと、そして交代を引っ張った黄義助のラストプレーが決勝点になるという宮本監督の「勝負運」が残り約2か月続くことを強く祈りたい。


# by mateloss | 2018-10-05 21:48 | Report


 
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