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ガンバ大阪に関するコラム、ゲームレポート、戦術分析
by mateloss
'19シーズン見どころ ローマは一日にして成らず

まず、順位に関しては「ACL圏内」がクラブの目標だけれど、'18シーズンの内容・結果と補強・補充の状況を踏まえれば、黄義助の異常な決定力がシーズン通して維持されたうえで、他の実力上位クラブの不調が加わってようやく「あるいは届くかな」という感じ。

戦力的にはどんぐりの背比べ状態の中段グループで、順当にいけば展開次第で7~15位のどこかに納まるのが妥当だと思うけれども、黄義助の決定力が失われたり、ビルドアップの核になっている遠藤・今野が不調にでも陥れば、再度の降格圏入りも有り得なくはないだろう。


アタッキングサードの改善は、基本的にはタレント次第という考え方なので、駆け込み加入のダビド・コンカを筆頭に、熊本から加入した田中達、そしてU-23からの台頭(個人的には食野・芝本に期待)に注目したい。

戦術的な手当としては、現時点で見聞きしているののは、2列目の倉田・小野瀬にFW陣と近い場所でのプレーを求めている、と言う程度。他には、FW陣(黄・アデミウソン・渡邊)の組み合わせ/使い分け、数少ないチャンスメーカーである藤本の扱いがどうなるのか?、といったところが個人的な注目点。

どうも宮本監督のコメントを見聞きすると、'04&'05シーズンのように、攻撃陣3・4人のコンビネーションで錐を揉むように相手守備ブロックを切り裂くスタイルを目指しているように、勝手ながらイメージしてしまうのだが、このイメージがあっているのかも見てみたい。


ディフェンシブサードのクオリティについては、基本的にタレントが変わらないので良化は望みにくいということで、まずは昨季までのクオリティを維持できるかがまずは注目ポイント。

とりわけ、ファビオが抜けたことで、三浦・ファビオの加入で解消されたサイドからのクロス起点の攻撃に対する脆さが復活してしまわないかが、第一の懸念点。次いで、昨季に頻出したCBやボランチがボールホルダーに喰い付きすぎて、DFラインにギャップを作ってしまったり、バイタルをぽっかり空けてしまう問題。基本的には4-4-2の時、且つ相手側のポジショニングの流動性が高い場合に発生しやすい。'18シーズンはこの対策も目的の1つとして5-4-1を併用したが、今季はどうするか?


個人的な最大の注目点が、シーズンを通してミドルサードの攻守両面の改善がどこまで進むか。

一見クセのないオーソドックスに見える宮本ガンバのチーム戦術のうち、宮本監督の独自色が色濃い部分がミドルサード。

「タレントありきのパスサッカー」から「組織的な守備からのテクニカル且つパスワークによる速攻」スタイルへの転換は、長谷川ガンバ誕生前から続くクラブのコンセプトで、「ファーストブレイク」=高い位置で奪って速攻を狙う、と言う部分は宮本監督もキープコンセプトで健太監督と違いはない。

大きく異なりそうなのがゲームコントロールの手段で、健太監督はハイプレスとセットディフェンスの時間帯・状況別使い分けでコントロールしようとしていたのに対して、宮本監督は、ミドルブロックでの守備とミドルサードでのポゼッションでコントロールすることを目標にしている模様。

実は高い位置で奪い返してのファーストブレイクorポゼッションというコンセプトは、健太監督も就任当初は目指していたところなのだが、就任2年目の三冠獲得の年には、実現困難ということで断念してしまった曰く付きのコンセプト。

健太監督時代より2mも縦幅を圧縮したミドルブロックのポジショニングに代表される宮本監督の方法論で、チーム戦術には確かな手腕を有する健太&片野坂コンビで無し得なかったコンセプトの成就なるか。

その成熟度の試金石になるのがビルドアップ力(ポゼッション率、30m侵入回数)の優れた相手との対戦。昨季のスタッツで言えば、川崎・横浜・神戸が一段とびぬけており、これにスタイルは様々だけれども札幌、名古屋、C大阪が続くという構造。

現時点では、第1グループの横浜FMに通用しないことが出だしで明らかになったということで、次は第2グループとの対戦でどこまで通じるかが注目点。

スケジュール的には、

・昨季20節では後半にサンドバッグ状態に陥り、なかなか強力な補強も行われた名古屋(第3節@3/9)

・昨季の時点ではガンバがわずかに上回ったけれど、ロティーナ新体制でビルドアップ力UPが見込まれるC大阪(第12節@5/18)

・昨季22節は手も足も出ないという感じで散々にやられたうえに、ミシャ監督続投で熟成がすすむ札幌(第13節@5/25)

の順となる。

まずは、2番目グループとの一巡目の対戦でどこまでやれるかがキャンプの成果と現時点の立ち位置の確認、夏以降の二順目でどこまでやれるようになったかを、今年一年の成熟度の試金石として見たい。

理想の到達点は、守備に秀でたタレントを輩出しにくい育成の伝統や次世代を担うU-23世代に守備に秀でたタレントがいないことを考えると、今野・井手口のようなJトップクラスの守備能力のタレント無しでも、2番目グループとは互角、1番目グループにも好きにはやらせないレベルか。


最後に、余談だけれどクラブの土台に関わる疑念として、U-23を森下&宮原コンビに任せたことに不安を感じる。

健太監督時代からトップとU-23で強化方針を共有していたはずで、そのためU-23の監督は、宮本にしろ実好にしろ、トップチームのチーム戦術に、全く同じではないが、即した育成・強化を進めてきた。

その点、ユース・Jユース年代しか指導経験のない宮原(個人的には好きなタイプのプレーヤーだったけど)はもちろん、チーム戦術に関する手腕について何一つ成功例のない森下を起用することが理解できない。帝京で森下の後輩にあたる松波強化部長が、失業状態の先輩に気をつかったわけじゃないだろうけど。


by mateloss | 2019-02-28 21:25 | Column
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